会うほど好きになる?LINEでも効く?婚活に活かす“単純接触効果”

こんにちは!ミューコネクトの横井です。今回は、心理学で有名な「単純接触効果(ザイアンス効果)」について、LINEやSNSなどの文字だけのやりとりと、実際に会う場合でどれくらい効果に違いがあるのか、最新の研究や論文も交えて詳しく解説します。
ちなみに、ミューコネクトでは、「LINEが苦手なら、5分でもいいから会うこと」を伝えています。弊社ミューコネクトの考えが、「心理学的」に有効なのか?検証していきます。
単純接触効果とは?
単純接触効果とは、1968年に心理学者ロバート・ザイアンスによって提唱された現象です。「人は、繰り返し接触するものに対して好意や親近感を持ちやすくなる」というもの。たとえば、同じクラスや職場で何度も顔を合わせるうちに、最初は何とも思っていなかった人に親しみを感じるようになる──そんな経験、誰しもあるのではないでしょうか。
この効果は人だけでなく、音楽や商品、言葉、写真など、さまざまな対象に対して働くことが分かっています。
デジタル時代の単純接触効果
現代はLINEやSNSなど、直接会わなくても気軽にやりとりできる時代です。でも「文字だけのやりとり」でも本当に単純接触効果は働くのでしょうか?そして、実際に会う場合と比べてどれくらい違いがあるのでしょうか。
文字だけでも効果はある
結論から言うと、LINEやSNSのやりとりでも単純接触効果はしっかり働きます。心理学の実験でも、単語や写真、メールなどの「非対面・非音声」の刺激でも、繰り返し接触することで好意度が上がることが確認されています。
たとえば、SNSでよく見る名前やアイコン、LINEで何度もやりとりする相手に、次第に親しみを感じるのはこの効果の一例です。実際、ザイアンスの1968年の論文でも、単語や写真などの「文字・視覚的刺激」でも単純接触効果が生じることが示されています。
実際に会う場合との違い
対面での接触(実際に会う)
対面で会う場合は、表情や声、身振り、雰囲気など、五感を使った多様な情報が伝わります。この「非言語的な情報」は、相手への信頼感や親近感を強く高める大きな要素です。人は言葉以外の情報(ノンバーバルコミュニケーション)から多くの印象を受け取るため、対面での単純接触効果はより強く現れる傾向があります。
LINEやSNSなど文字だけの接触
一方、LINEやSNSでのやりとりは、主に文字情報だけです。テキストは便利ですが、相手の感情や雰囲気、細かなニュアンスが伝わりにくいという弱点があります。そのため、同じ回数だけ接触した場合でも、対面に比べて単純接触効果はやや弱いと考えられています。
研究・論文から見る「効果の差」
2023年にNature誌に掲載された論文では、パンデミック下のメンタルヘルスへの影響を調査し、「対面コミュニケーションはデジタルコミュニケーションよりもはるかに重要」と結論づけています。デジタル(テキスト)でのやりとりも効果はあるものの、対面には及ばないというのが世界的な研究の共通認識です。
また、テキストチャットと対面会話を比較した海外の研究でも、テキストベースのやりとりは情報量が少なく、感情や信頼の伝達が限定的であることが指摘されています。日本の心理学会でも、写真や単語などの「視覚・文字刺激」による単純接触効果は確認されていますが、対面での「多感覚的な接触」には及ばないとされています。
実生活での実感
私自身の経験でも、LINEやSNSで何度もやりとりした相手に親しみを感じることは多いですが、実際に会って会話を重ねると、より強い信頼感や安心感が生まれると感じます。たとえば、初対面の人とLINEでやりとりしているうちは「いい人そうだな」という印象止まりでも、実際に会って話すと「あ、この人本当に信頼できる」と感じることがよくあります。
接触頻度や質の影響
単純接触効果は「回数」がポイントですが、LINEやSNSの場合は「質」も重要です。たとえば、ただスタンプを送り合うだけよりも、相手のことを思いやるメッセージや、共通の話題で盛り上がるやりとりの方が、より強い親近感につながります。
また、どんな接触でも「やりすぎ」は逆効果になることがあります。心理学の実験では、7〜10回くらいの適度な接触がもっとも好意度を高めやすいとされています。逆に、しつこくメッセージを送りすぎると、相手に「うっとうしい」と思われてしまうことも。
まとめ:どちらも大事、でも「会う」方がやっぱり強い
最後に、LINEやSNSの文字だけの接触と、実際に会う接触の単純接触効果を比較してまとめます。
接触手段 | 単純接触効果の強さ | 主な特徴・理由 |
---|---|---|
実際に会う(対面) | 強い | 非言語情報が豊富、親近感・信頼感が高まりやすい |
LINE・SNS(文字) | あるがやや弱い | 非言語情報が乏しい、個人性が伝わりにくい |
結論
LINEやSNSのやりとりでも単純接触効果は十分に発揮されます。何度もやりとりするうちに、相手への親しみや好意が高まるのは間違いありません。しかし、実際に会って話すことで得られる「信頼感」や「安心感」は、やはり文字だけのやりとりよりも強いのが現実です。
とはいえ、現代の忙しい生活や遠距離の人間関係では、LINEやSNSの力はとても大きいもの。文字だけでも相手を思いやる気持ちや、適度な頻度でのやりとりを大切にすれば、十分に良好な関係を築くことができます。
「会う」ことと「文字でやりとりする」こと、それぞれの良さを活かして、より豊かな人間関係を築いていきましょう。
参考文献
- Zajonc, R. B. (1968). Attitudinal effects of mere exposure. Journal of Personality and Social Psychology, 9(2), 1-27.
- 2023年 Nature 掲載論文(パンデミック下のコミュニケーションとメンタルヘルスに関する研究)
- 松田 憲・楠見 孝(2002). 単純接触効果を支える表象形成過程の検討─概念の典型性が好意度評定と再認判断に及ぼす効果─ 日本心理学会第66回大会発表論集