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「趣味の時間がなくなるから結婚しない」は本当か——かつて「結婚できない」と言われた趣味人が、1,200組を見て気づいたこと

2026 9/01
ブログ 婚活心理学
2026-09-01
夕暮れの窓辺で頬杖をつく眼鏡の女性。机には本・ヘッドホン・ゲームコントローラーなど趣味の道具が並ぶ。「趣味・結婚・生活は両立できる」の文字が入ったアイキャッチ画像。
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目次

私も、結婚する気のない”趣味人”でした

正直に打ち明けます。

私自身、かつては結婚する気がまったくない趣味人でした。

ほどほどに働いて、あとは好きな作品の世界に漂っている——そんな日常が、心から好きだったのです。

会社の上司や周りからは、「お前は結婚なんてできない」とまで言われていました。

否定というより、もう”そういうキャラ”として扱われていた、という感覚に近い。

その私が、なぜ結婚したのか。

きっかけは、『エヴァンゲリオン』を観ていたときに、ふと落ちてきたひとつの考えでした。

——自分を丸ごとわかってくれる人が、たった一人いればいい。それだけで、この人生はずいぶん面白くなるんじゃないか。

大勢に理解される必要はない。趣味を全部わかってもらう必要もない。

ただ、一人。

その”一人”に出会えるなら、漂っていた日常に、もう一つ椅子を置いてもいい——そう思えたのが、私が結婚を選んだ理由です。

そして、この経験があったからこそ、私は「結婚したいけれど…」と悩む趣味人のために、日本で初めて、趣味に生きる人のための結婚相談室(オタク専門としては日本初)を開きました。

「趣味は大事。でも、結婚して家庭を築くことも大事なのでは?」——そう揺れる相談者に、私はいつもこう伝えています。

趣味と結婚と生活は、ちゃんと両立できます、と。

これから書くのは、理屈だけの話ではありません。

かつて「結婚できない」と言われた側の人間が、実際に歩いてみた道の話です。

こども家庭庁の調査が映した「趣味 vs 結婚」の本音

こども家庭庁は2026年8月31日、15〜39歳の若者およそ10万人を対象にした大規模調査の中間報告を公表しました。

日本経済新聞
未婚の若者の35%「結婚するつもりない」  こども家庭庁調査 – 日本経済新聞 こども家庭庁は31日、15〜39歳までの若者10万人を対象とした意識調査を公表した。未婚の若者の35%が「結婚するつもりはない」と回答した。SNSの年齢制限は年代・性別を問わ…

未婚者のうち「結婚するつもりはない」と答えた人は35.1%。

そして注目すべきは、未婚者の50.8%が、結婚よりも「余暇・趣味を楽しむこと」を優先すると答えた点です。

結婚へのハードルとして挙がったのも、「収入への不安」と並んで「自由時間・趣味の時間が短くなること」でした。

つまり、若い世代の半数が「結婚すると、好きなことをやる時間を奪われる」と感じている。

かつての私も、まさにそう思っていた側でした。

(※男女・年齢別の内訳は未公表で、最終報告は今年度末とされています。上記は現時点の速報値です)

「結婚=趣味を諦める」は、前提そのものが間違っている

そもそも「結婚すると趣味の時間が減る」という文は、ひとつの隠れた前提の上に立っています。

**「相手は、自分の好きなものを理解しない人だ」**という前提です。

考えてみてください。

休日にそれぞれ好きなことに没頭して、夜にその話を語り合える人。行きたかったイベントに「行っておいでよ」と背中を押してくれる人。

そういう相手となら、趣味の時間は「減らされるもの」ではなく「共有されるもの」に変わります。

減るどころか、むしろ豊かになる。

問題は「結婚」ではありません。

**「趣味を分かち合えない相手を選ぶこと」**です。

こども家庭庁の数字が示しているのは”結婚の不利益”ではなく、”相手選びに失敗するイメージしか持てていない”という現状なのです。

なぜ趣味が”減る結婚”と”増える結婚”に分かれるのか

ここで大事になるのが、共感と共鳴の違いです。

共感とは、相手がただ話を聞いて「へえ、すごいね」とうなずいてくれること。

共鳴とは、同じ周波数が鳴って、二人のあいだで音が響き合うこと。

音叉をイメージしてください。片方を鳴らすと、離れたところにあるもう一本が、触れてもいないのに一緒に鳴りだす。あれが共鳴です。

私が「一人いればいい」と思えたのは、まさにこの共鳴する相手のことでした。

大勢と共感し合う必要はない。あなたの周波数で一緒に鳴ってくれる人が、一人いればいい。

趣味の時間が”増える結婚”をする人は、例外なくこの一人を選んでいます。

逆に言えば、お見合いで趣味の話をして相手が引いたなら、それは失敗ではありません。

共鳴しなかった=一発で「合わない相手」を判別できた、という成功です。

共鳴と共感の違いは、ナラティブ婚活の理論ページでさらに詳しく解説しています。

「ガチで婚活するなら、趣味はやめたほうがいい」——これはむしろ逆効果です

相談の場で、こう言われることがあります。

「本気で婚活するなら、オタ活はいったんやめたほうがいいですよね?」

多くの相談所も、暗にそう指導します。婚活に集中しろ、と。

でも私は、はっきり「同時進行で大丈夫です」とお答えしています。

むしろ、拠り所を捨てたほうが、婚活はうまくいかなくなる。そう考えているからです。

部活を辞めて受験に専念した子ほど、志望校に落ちる

これは、元有名塾講師の友人と話していて出た話です。

受験でも、同じ現象があるそうです。

「志望校のために部活を辞めて勉強一本に絞った子ほど、かえって第一志望の合格率が下がる傾向がある」

一見、逆に思えます。時間を全部勉強に注いだほうが受かりそうです。

でも、実際はそうならないことが多い。

自分を支えていた”拠り所”を削ると、生活全体のバランスが崩れ、肝心の勉強のパフォーマンスまで落ちてしまうのです。

婚活も、まったく同じ構造をしています。

なぜ拠り所を消すと、逆に失敗するのか(心理学で検証する)

この現象は、心理学でうまく説明がつきます。

ひとつは、心理学者パトリシア・リンヴィルが提唱した**「セルフ・コンプレキシティ(自己複雑性)」**という考え方です。

人は、自分の”顔”(役割やアイデンティティ)を複数持っているほど、ひとつの領域でうまくいかない時のダメージを受け流せます。

趣味という顔、仕事という顔。そこに婚活という顔が加わる——この複数性が、心の緩衝材になります。

ところが「婚活だけ」に絞ると、お見合いでうまくいかなかった時に、自分の存在まるごとが否定されたように感じてしまう。

そうなると、次の一歩がどんどん重くなる。

もうひとつは、心理学者アルバート・バンデューラの**「自己効力感」**です。

自信のいちばんの供給源は、「何かをやり遂げた経験(熟達体験)」だと分かっています。

趣味で積み上げてきた”できる感覚”は、婚活の場での落ち着きや自信にも、静かに波及します。

拠り所を消すというのは、この自信の供給源ごと断ってしまうこと。

だから、削ったほうがバランスを崩す。

何かをよりどころにしている人から、それを取り上げてはいけないのです。

趣味と結婚と生活は、両立できます。

私が会員さんにいつも伝えているのは、この一点です。

「結婚するつもりない」の半分は、本当に”したくない”わけではない

もうひとつ、この調査には見落とされがちな裏側があります。

独身研究家の荒川和久氏の分析によれば、「結婚するつもりはない」と答えた35.1%のうち、「そもそも結婚したいと思わない」を理由に挙げた人は約半数にとどまります。

単純計算すると、積極的に「結婚しない」を選んでいる人は全体の2割弱。

残りは、収入や住まいへの不安、あるいは「相手が見つからない」といった事情で、**本当は結婚したいのに諦めている”不本意未婚”**が相当数を占める、というわけです。

「趣味の時間がなくなるから」という理由も、その多くは同じ構造をしています。

本音は「好きなものを分かち合える人と結婚したい」。

でも、そんな人に出会えるイメージが持てないから、「結婚しない」という言葉で自分を守っている。

かつて「結婚なんてできない」と言われて、そのキャラに収まっていた私も、まさにこれでした。

「一人が好き、でも結婚もしたい」というねじれの正体は、この記事でほどいています。

趣味に没頭してきた人ほど、戦い方を間違えている

好きなものに深く潜ってきた人は、頭がよく、こだわりも強い。

だからこそ、婚活では不利になりやすい。理由は二つあります。

ひとつは、幼い頃から自分の興味に全集中してきた人ほど、異性と自然に接する経験が薄く、「恋愛体力」が落ちていること。

恋愛体力は筋力と同じで、今のレベルから足りない分を補えば、何歳からでも鍛え直せます。相談室の役割は、まさにこの伴走にあります。

もうひとつは、多くの相談所が「趣味を全部プロフィールに書き出しなさい」と指導すること。

一見、共通点のある人と出会いやすくなりそうに見えます。

けれど、趣味をずらりと並べるのは自己紹介であって、あなたの物語ではありません。

マッチングの数は増えても、初回デートの9割は後日お断りに終わる——これは現場で何度も見てきた光景です。

だから婚活参謀の答えは、「数を打つな、深く刺せ」。

お見合いを月に2〜3件に絞り、プロフィールと写真で先にフィルターをかけ、共鳴しそうな相手だけに深く刺す。ワンショット・ワンキルの設計です。

大勢に会う必要はない。あなたと響き合う、あの”一人”に出会えればいいのですから。

15年、1,200組。そのほとんどが、好きなものに深く潜ってきた人たちでした。

「趣味を諦めた人」ではなく、「趣味を分かち合える人と出会えた人」が、そこにいます。

まとめ

  • こども家庭庁の調査で、未婚者の約半数が「結婚より趣味・余暇を優先」と回答した
  • しかしその不安は「結婚」ではなく「趣味を分かち合えない相手との結婚」を指している
  • 趣味が増える結婚をする人は、共感ではなく”共鳴”する相手を選んでいる
  • 共鳴する相手は大勢いらない。自分をわかってくれる一人がいればいい
  • 婚活のために趣味を捨てるのは逆効果。拠り所を残すほうが、心のバランスも自信も保てる(趣味・結婚・生活は両立できる)
  • 「結婚するつもりない」の多くは、本当はしたい”不本意未婚”
  • 好きなものに深く潜ってきた人ほど、戦い方(相手の絞り方)を整えれば勝てる

趣味を諦める必要はありません。

諦めるべきは、「趣味を理解しない人と結婚するしかない」という思い込みのほうです。

かつて「結婚できない」と言われた私が言うのだから、少しは信じてもらっていい。

自分をわかってくれる人は、たった一人でいいのです。

この記事の根拠(主な研究・理論)

  • こども家庭庁が15〜39歳の若者約10万人を対象に実施した意識調査の中間報告(2026年8月31日公表。有効回答約6万8000人、未婚者約4万3500人の結婚意欲・優先事項の集計値)。
  • 荒川和久氏による同調査の分析(「結婚するつもりはない」層のうち能動的な非婚は一部で、収入・住まい・出会いの事情による”不本意未婚”が相当数含まれるとの指摘)。
  • Linville, P. W. (1985) Self and affect: The role of self-complexity. / Linville, P. W. (1987) Self-complexity as a cognitive buffer against stress-related illness and depression. Journal of Personality and Social Psychology.(自己複雑性が心理的ストレスの緩衝材になるという緩衝仮説)
  • Bandura, A. (1977) Self-efficacy: Toward a unifying theory of behavioral change. Psychological Review. / Bandura, A. (1997) Self-Efficacy: The Exercise of Control.(自己効力感の最大の源泉は熟達体験であるとする理論)

※部活と受験の合格率に関する記述は、元塾講師の現場観察に基づく「傾向」であり、統計的に確定した数値ではありません。上記の心理学理論は、その傾向がなぜ生じうるかを説明するための枠組みとして紹介しています。

筆者プロフィール

横井むつとも(婚活参謀) ミューコネクト株式会社 代表取締役。岐阜県大垣市を拠点に、趣味に生きる人・感受性の高い人のための結婚相談室を運営。2011年に、専門特化型の結婚相談室を日本で初めて開設(開設初期の活動記録はこちら)。15年で約1,200組の成婚に伴走。IBJ BEST ROOKIE 2025受賞。著書に『オタク婚活はじめます』ほか。心理学・行動経済学を土台にした独自メソッド「ナラティブ婚活」を提唱している。


よくある質問

Q. 結婚したら、本当に趣味の時間は減りますか? A. 相手によります。趣味に共鳴しない人と結婚すれば減りますが、共鳴する人となら共有時間として増えることも多いです。減るかどうかは「結婚」ではなく「相手選び」で決まります。

Q. 本気で婚活するなら、趣味はやめたほうがいいですか? A. いいえ、同時進行で大丈夫です。むしろ拠り所を捨てると生活のバランスと自信が崩れ、婚活のパフォーマンスまで落ちます。部活を辞めて受験に専念した子ほど第一志望に落ちやすいのと、同じ構造です。

Q. 同じ趣味の人と結婚すればいいということですか? A. 必ずしも同じ趣味である必要はありません。大切なのは趣味そのものの一致ではなく、あなたが夢中になる姿を面白がり、響き合ってくれるか(共鳴)です。

Q. 趣味に没頭してきて恋愛経験が少なくても大丈夫ですか? A. 大丈夫です。恋愛は「恋愛体力」で、筋力と同じく今のレベルから鍛え直せます。相談室はそのための伴走をします。

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