結婚相談所で「何もしてもらえない」のは、選び方と使い方に原因がある

【この記事でわかること】
結婚相談所で「何もしてもらえない」原因は2つある。
①副業仲人という時間の構造問題、②入会後に相談しない会員側の行動パターン。IBJ加盟相談所は初期費用10万円以上・月会費1万円以上と高額にもかかわらず、副業カウンセラーのモチベーション低下が会員のサポート不足に直結するケースがある。入会前は「覚悟を持って動くカウンセラーかどうか」を確認し、入会後は「能動的に相談する」を習慣にすることで、婚活は動き出す。
——婚活参謀・横井むつとも(婚活コンサルティング歴15年以上・成婚実績1,200組超)
結婚相談所に入会したのに、何もしてもらえない——そう感じている人は少なくない。入会費と月会費を払い続けながら、紹介もなく、連絡もない。この状態を業界では「飼い殺し」と呼ぶ。
原因は2つある。カウンセラー側の構造問題と、会員側の行動パターンだ。どちらか一方だけを見ていても、婚活は動かない。
この記事では、婚活参謀として15年以上・1,200組超の成婚実績を持つ横井むつともが、「飼い殺し」が起きるメカニズムと、今日から変えられることを解説する。
「副業仲人」とは何か
副業仲人とは、本業(会社員・自営業など)を持ちながら、副業として結婚相談所を運営しているカウンセラーのことだ。
結婚相談所業界は、業界団体(IBJやTMSなど)に加盟すれば特別な資格なく開業できる。開業の初期費用も0円〜180万円と幅広く、参入ハードルは他業種に比べて驚くほど低い。そのため、副業として参入するカウンセラーが多い。
副業仲人が「動けない」構造は、次のようになっている。
- 月曜〜金曜:本業に費やす
- 週末:家族・プライベートの時間が入る
- 婚活サポートに使える時間:週に数時間のみ
- 実働会員が10〜20人を超えると:誰にも十分なサポートができなくなる
これは「悪いカウンセラー」の問題ではない。時間の構造問題だ。
副業でも、メリハリをつければ成婚は増やせる
正直に言う。
私自身も、最初の3年間は副業仲人だった。
本業を抱えながら、婚活コンサルティングをしていた。ただ——副業だから動けない、とは思っていなかった。
限られた時間の中で、会員と向き合う場面を徹底的に絞った。相談の時間は短くても、密度を上げた。お見合い前後の連絡は、時間帯を問わず入れた。メリハリをつけて動いた結果、副業期間でも成婚を積み重ねることができた。
だから断言できる。問題は「副業かどうか」ではなく、「会員に向き合う覚悟があるかどうか」だ。
「忙しい」を言い訳にして動かないカウンセラーと、副業でも時間を絞って全力で動くカウンセラーでは、会員への影響がまったく違う。そしてその差は、入会前に見極めることができる。
なぜ「いつも忙しい」は問題なのか
副業仲人に共通するのが「忙しい」という口癖だ。これはサービスの不履行であり、心理学的には「責任の外在化」にあたる。
「最近ちょっと忙しくて……」「来月落ち着いたらサポートします」——この言葉を聞いたことがある人は要注意だ。
会員はこの言葉を繰り返し聞くうちに、「しょうがないか」という諦めを学習していく。心理学ではこれを学習性無力感と呼ぶ。本来は自分で動ける人間が、動けないと思い込まされていく状態だ。
- 責任の外在化:自分の不作為を外部の事情(忙しさ)のせいにする認知パターン
- 学習性無力感:繰り返しの無力体験により、能動的な行動が抑制される状態
問題はカウンセラーの忙しさではない。その言葉を聞いてもまだ、その場所に留まっているあなたの判断だ。
IBJ加盟相談所という構造的な問題
ここで、費用の話をしておかなければならない。
IBJ(日本結婚相談所連盟)は業界最大手の連盟であり、加盟相談所の初期費用は10万円以上、月会費も1万円以上が一般的だ。他の連盟と比べても高額な水準にある。
その費用を払って入会した先が、動けない副業仲人だったとしたら——会員はたまったものではない。
IBJはカウンセラー向けの研修制度を持っている。向上心のあるカウンセラーが学べる環境は整っている。ただし、多くの研修は平日開催だ。 副業カウンセラーにとっては、本業の就業時間と完全に重なる。時間を作って学ぼうとしても、物理的に参加が難しい場面が出てくる。
それでも、努力して時間を捻出し、研修に参加しているカウンセラーもいる。そういう人を私は尊重している。
問題は、そこからだ。
懸命に学んでも、会員がなかなか集まらない。思い描いていた「婚活カウンセラー像」——やりがいがあって、感謝されて、成婚の喜びを分かち合える仕事——と現実のギャップが広がっていく。モチベーションが落ちる。サポートの質が下がる。会員は「何もしてもらえない」状態に置かれる。
高い費用を払って入会した会員が、カウンセラーのモチベーション低下のしわ寄せを受けている。 これは構造として見ておく必要がある。
そして極めつきは、成婚料だ。何もしてもらえなかった会員が、成婚した暁には成功報酬としてカウンセラーに成婚料を支払わなければならない。初期費用・月会費を払い続け、サポートらしいサポートも受けられなかったにもかかわらず、だ。滑稽と言わずして何と言うか。 このようなカウンセラーは「次がない」——次第に廃業へ追い込まれる。
なぜ会員は「逃げられない」のか
入会した結婚相談所をやめられない背景には、「サンクコスト効果」と「現状維持バイアス」という2つの心理バイアスが働いている。
サンクコスト効果
すでに払った入会費を「回収したい」という心理が、退会の意思決定を妨げる。成婚以外で退会することが「損失の確定」に感じられ、ずるずると在籍し続ける。
現状維持バイアス
変化にはコストと不確実性が伴うため、人は無意識に「今のまま」を選ぼうとする。「私がもっと努力すれば変わるかもしれない」という期待が、現状維持を正当化する。
しかし変わらない。カウンセラーの時間構造が変わらない限り、サポートの密度は変わらない。婚活で一番消耗するのは、出会いのなさではなく、こういう時間だ。
相談しない会員にも、問題がある
「飼い殺し」にはもう一方の原因がある。入会後、一度も相談しない会員の存在だ。
私は入会時に、必ずこう伝えている。
「動かないと、私のATMになりますよ。結婚は自分が望んでするものであり、受験と何ら変わりはない。自分から動かないと、何も変えることはできない」
これは脅しでも煽りでもない。事実だ。
これは学校の授業と同じ構造だ。授業中に質問しなければ、先生は「理解している」と判断する。黙っていることは、「わかっています」という無言のサインとして処理される。
ある塾の先生がこう言っていた。
「成績が下でも、”これわからないので教えてください”と言える子ほど、何度でも同じことを聞きめんどくさいが、物覚えは遅くても成績がおもしろいほど伸びる。逆に成績が上でも落ちていく子ほど、”聞くことはありません”と言う」
婚活でも、まったく同じことが起きている。
なぜ「わかっています」と言ってしまうのか——ダニング=クルーガー効果
「相談しない」行動の背景には、ダニング=クルーガー効果と呼ばれる認知バイアスが関係している。
ダニング=クルーガー効果とは、「能力の低い人ほど自分の能力を過大評価する」という心理現象だ(コーネル大学・1999年)。成績が悪い学生ほど自身を高く評価し、優秀な学生ほど自分を低く見積もる傾向が実験で確認されている。
婚活に当てはめると、こうなる。
| 状態 | 行動パターン |
|---|---|
| 婚活がうまくいっていない人 | 「自分のやり方は間違っていない」→相談しない |
| 成婚に近づいていく人 | 「何が問題か教えてください」→能動的に問いを立てる |
「自分が何をわかっていないか、わかっていない」状態——これをメタ認知の欠如という。この状態では、どれだけ良いカウンセラーについても、成婚への道は開かない。
入会前に確認すべき5つのポイント
結婚相談所を選ぶ前に、カウンセラーが婚活に専念しているかどうかを確認することが最重要だ。
入会前に確認できるチェックポイントは以下のとおり。
- 本業が別にある、と言っているか
- 初回のレスポンスに時間がかかるか
- 面談の設定が週末しか対応できないか
- 担当会員数の上限を明示しているか
- 平日昼間の相談に対応できるか
悪い人かどうかではない。あなたの婚活を「副業の隙間時間」で支えられるかどうか——それを問うべきだ。専業かどうかだけで、サポートの密度はまったく違う。
入会後に今日から変えられること
すでに入会しているなら、「相談する」を習慣にすることで、婚活の密度は今日から変えられる。
能動的に問いを立てることは、アクティブラーニング(能動的学習)の原理と同じだ。情報を受け取るだけの受動的な姿勢より、問いを立て・フィードバックを求める姿勢のほうが、知識と行動が長期的に定着する。
今日からできる具体的な行動は以下のとおり。
- 「最近どうですか」に「大丈夫です」で終わらせない
- うまくいかなかったことを正直に話す
- 「何が問題だったと思いますか?」と逆に聞く
- わからないことをリストにして持ち込む
「覚悟を持って動くカウンセラー」と「能動的に相談する会員」——この2つが揃ってはじめて、婚活は動き出す。
まとめ
- 結婚相談所の「飼い殺し」には、カウンセラー側の構造問題と会員側の行動パターンの2つの原因がある
- 副業仲人でも覚悟とメリハリがあれば成婚は増やせる。問題は「副業かどうか」ではなく「向き合う覚悟があるかどうか」だ
- IBJ加盟相談所は他連盟より費用が高額にもかかわらず、副業カウンセラーのモチベーション低下が会員のサポート不足に直結するケースがある
- IBJの研修は平日開催が多く、副業カウンセラーが参加しにくい構造がある
- 入会したまま動けない背景には、サンクコスト効果・現状維持バイアスが働いている
- 「相談しない会員」はダニング=クルーガー効果により、自分の問題に気づけていない
- 入会前は「覚悟を持って動くカウンセラーかどうか」を確認する。入会後は「能動的に相談する」を習慣にする
よくある質問(FAQ)
IBJ加盟の相談所は費用が高いと聞きますが、それだけのサポートを受けられますか?
IBJ加盟相談所の費用水準は他連盟より高めで、初期費用10万円以上・月会費1万円以上が一般的だ。ただし費用の高さはカウンセラーの質や活動量を保証するものではない。IBJには研修制度があるが平日開催が多く、副業カウンセラーが参加しにくい構造もある。入会前にカウンセラーの稼働状況・レスポンス速度・面談頻度を確認することが、費用に見合ったサポートを受けるための最低条件だ。
副業仲人と専業仲人の違いは何ですか?
副業仲人は本業(会社員・自営業など)を持ちながら相談所を運営しているカウンセラーだ。専業仲人は婚活サポートのみを本業としている。両者の最大の違いは「会員に使える時間の量と質」であり、週あたりのサポート可能時間に構造的な差がある。
入会している相談所のカウンセラーが副業仲人かどうか、どう見極めればいいですか?
レスポンスの速さ、面談設定の柔軟性(平日昼間に対応できるか)、担当会員数の開示有無が主な判断材料になる。また「本業は何ですか?」と直接聞くことも有効だ。
「飼い殺し」状態から抜け出すにはどうすればいいですか?
2つのアプローチがある。①カウンセラーへの相談頻度を上げ、能動的にフィードバックを求める。②それでも改善しない場合は、専業カウンセラーへの移籍を検討する。サンクコスト効果に引きずられず、残り活動期間のコストパフォーマンスで判断することが重要だ。
相談することへの抵抗感はどう克服すればいいですか?
「相談することは弱さではなく、戦略だ」と認識を切り替えることが出発点だ。婚活においてカウンセラーへの相談は、塾や家庭教師の先生に質問するのと同じ行為——費用を払って専門家のリソースを活用することだ。遠慮は成婚機会の損失につながる。
著者について
横井むつとも(婚活参謀) ミューコネクト株式会社 代表取締役。岐阜県大垣市を拠点に、婚活コンサルティング歴15年以上、成婚実績1,200組超。著書3冊(ダイヤモンド、プレジデント、現代ビジネス等メディア掲載多数)。IBJ加盟。独自メソッド「ナラティブ婚活」を提唱し、プロフィール・言語化・自己物語の構築を軸とした婚活支援を行っている。
