結婚を考えている人が知らない結婚相談所の真実——数字とブランドを信じる前に読んでほしい

この記事でわかること
- 「会員10万人」という数字が実際に何を意味しているか
- 大手フランチャイズ連盟だけが成長しているように見える本当の理由
- あなたのプロフィールが知らない間に複数登録されている可能性
- ブランドや数字より先に確認すべき、たった一つのこと
「結婚相談所、有名なところに入れば大丈夫ですよね?」
20代・30代の相談者から、この言葉をよく聞く。
大手ブランド、会員数の多さ、成婚実績の数字——そういうものを見て安心しようとする気持ちは、よくわかる。結婚という人生の大きな決断を前にして、わかりやすい指標にすがりたくなるのは自然なことだ。
でも、その数字の意味を正確に理解している人は、ほとんどいない。
婚活コンサルタントとして15年、1,200組以上の成婚に関わってきた私が、業界の内側から見えている現実を、そのまま話す。
私はフランチャイズの内側を知っている
婚活の話をする前に、少し昔の話をさせてほしい。
私はかつて、お掃除業界のフランチャイズで働いていた。
フランチャイズにはある法則がある。加盟店が増え、ある程度市場を取りつくすと、今度は「二次展開」が始まる。十分に全国展開が完了しているにもかかわらず、さらに加盟店を募集し続けるのだ。
私のところにも「加盟したいのですが、取り次いでもらえませんか」という相談がよく来た。幸い私がいた会社は良心的なフランチャイズだったので、「今は加盟店は募集していません」と正直に答えていた。
だが、同じ業界の別の会社は違った。加盟店を過剰に増やし、実態はお掃除ではなく加盟金で利益を上げるビジネスモデルになっていた。加盟した人が稼げるかどうかより、加盟させることが目的になっていたのだ。
その結果、何が起きたか。
廃業率が上がった。そして稼げている加盟店の下に、稼げない加盟店が「下請け」として入るという歪な構造が生まれた。本来対等であるはずのフランチャイズ加盟店が、事実上の下請け業者になっていく。
それでも撤退できない加盟店オーナーに、本部はこう言う。
「稼げないのは、あなたの営業力が弱いからです」
責任はすべて加盟店に押しつけられる。構造的に稼げない仕組みを作っておきながら、失敗の原因は個人の努力不足だと言い切る。私はその光景を、間近で見ていた。
だからこそ、最近SNSで結婚相談所の加盟店募集広告を見るたびに思う。
「ついにここまで来たか」と。
業界団体は「増えている」と言う。でも第三者データが示す現実は。
ある大手フランチャイズ連盟が発表したデータによると、2023年上期の20〜30代の入会数が5年前と比べて約2倍になったという。
数字だけ見れば活況に見える。
だが同じ時期、別の場所では静かに、しかし確実に逆のことが起きていた。
知名度と顧客満足度を誇っていた大手企業が運営する結婚相談所サービスの終了が、2025年に相次いで発表された。長年業界をリードしてきた大手ですら、撤退を選んだ。
別の大手結婚相談所の会員数は、10年前より明らかに減少している。
帝国データバンクの調査では、2023年に倒産・休廃業した結婚相談所は22件で過去最多。2021年の10件、2022年の14件から右肩上がりで増えている。
新規開業した結婚相談所の約90%が、3年以内に廃業している。
これが、業界の外側にいる第三者機関が示すデータの実態だ。
「増えている」の正体——ウクライナの穀物と同じ構造
では、なぜ業界団体の数字と現実はこれほどズレているのか。
ひとつの歴史的な出来事が、頭をよぎる。
1930年代、世界大恐慌が世界を覆っていた時代。ソ連のウクライナだけが、豊かに見えた。穀物が大量に生産され、外に向けて輸出され続けていた。数字の上では、ウクライナは豊穣の地だった。
だが実態は違った。
スターリンの命令のもと、ウクライナで生産された穀物は強制的に収奪され、国外に送り出されていた。その結果、ウクライナの人々は自分たちが育てた穀物を口にできず、数百万人が飢餓で命を落とした。外から見える「豊かさ」の内側で、凄惨な搾取が起きていた。歴史はこれをホロドモール——「飢餓による虐殺」と呼ぶ。
今の婚活業界の構造が、これと重なって見える。
大手フランチャイズ連盟だけが数字の上で成長している。だがその内側では何が起きているか。中小・弱小の相談所が廃業し、その会員がひとつのネットワークへと吸収されている。業界全体のパイが拡大しているのではなく、一極集中による再編と淘汰が起きているだけだ。
外から見える「増加」の数字は、内側の疲弊を隠している。
フランチャイズ連盟は、加盟店が増えれば増えるほど本部の収益になる仕組みだ。「若者の入会が増えています」というデータは、同時に「加盟店募集」のマーケティング素材でもある。かつて私が見ていたお掃除業界のB社と、構造は同じだ。
そして今、この業界では輪をかけて巧妙なことが起きている。
会員の「囲い込み」という実態——あなたのプロフィールは何重に登録されているか
加盟店を増やすために、こんな手法が使われている。
会員を50名抱えているA相談所に対して、こう持ちかける。
「加盟しませんか。通常200万円かかる加盟金を、0円にします」
A相談所がこれに応じて加盟契約を結べば、その瞬間に50名の会員が新たなネットワークに登録される。会員数が、50人分増える。
ここで知っておいてほしいことがある。
結婚相談所への加盟は、複数同時にできる。
つまりA相談所連盟、B相談所協会、C相談所連盟と複数のネットワークに同時加盟することが可能で、その場合、50名の会員全員が3つのネットワークに重複して登録されることになる。
「会員数が増えた」という数字の裏側に、こういう構造がある。
あなたのプロフィールが、あなたの知らないところで複数のネットワークに登録されている可能性がある。「会員10万人」という数字が、実際には何人分の重複を含んでいるか、外からは見えない。
婚活市場の「拡大」を示すデータの多くは、こうした会員の囲い込みと重複登録によって作られている側面がある。
私自身が、専門性のなさに苦しんだ
ここで少し、自分自身の話をしなければならない。
私が結婚相談所を開業した最初の1年間、会員はゼロだった。
ゼロというのは比喩ではない。文字通り、一人もいなかった。
その1年間、私は死に物狂いで考えた。仲人業を一から学んだ。婚活で困っている人たちに触れ、話を聞き、なぜうまくいかないのかを考え続けた。
そこで気づいたことがある。
婚活で困っている人には、それぞれ固有の「困り方」がある。コミュニケーションの癖、自己開示のタイミング、相手への期待のかけ方——その構造を見抜かなければ、どれだけ出会いの機会を提供しても意味がない。
そして当時、そういう相談ができる場所が、業界のどこにもなかった。
だから私は、自分で作ることにした。
2011年、日本で初めてのオタク専門結婚相談所を立ち上げた。当時はオタク文化がまだ大衆化しておらず、「オタク専門」という言葉がそのまま専門性を示す言葉として機能していた。その後、コロナ禍以降にオタクという定義が細分化・大衆化したことで、今は「探求心が強い人・こだわり派のための結婚相談所」という表現に変えている。言葉は変わっても、向き合う人の「困り方」は変わっていない。
自慢がしたいわけではない。
ただ、専門性のないカウンセラー(本部の意図するジェネリックカウンセラー)が量産される業界の問題を語るとき、私は自分が会員ゼロから始めて、専門性を作ることでしか生き残れなかった人間だということを、正直に言っておきたかった。
専門性は、肩書きではない。困っている人の前で、何度も考え直した結果として生まれるものだ。
相談所を選ぶより先に、考えてほしいこと
結婚相談所に入ることは、スタートにすぎない。
どのネットワークに入るか、月会費がいくらか、会員数が何人か——そういう比較の前に、もっと根本的な問いがある。
誰があなたの婚活を担当するのか。
その人は、あなたの「うまくいかない理由」を言語化できるか。表面的な条件の話ではなく、あなたの伝え方・見せ方・関係の進め方の癖を、きちんと見てくれるか。
相談所の数が増えた時代だからこそ、担当者の質の差は広がっている。
量が増えた業界ほど、本物の専門家が見えにくくなる。
かつてお掃除業界で私が見た光景が、今、婚活業界で繰り返されている。そしてウクライナの穀物と同じように、外から見える数字の豊かさと、内側で起きていることは、まったく別の話だ。
割を食うのは、結婚を真剣に望んでいるあなたのような人たちだ。
業界の構造を知った上で、入り口を選んでほしい。
著者:横井むつとも(婚活参謀★むつとも)
ミューコネクト株式会社代表。婚活コンサルタント歴15年・成婚実績1,200組以上。2011年に日本初のオタク専門結婚相談所を創業。著書3冊。知的に複雑な人のための婚活コンサルティングを岐阜県大垣市を拠点に全国オンライン対応で提供。
▼初回無料相談はこちら
https://otakukonkatu.net/yoyaku/
▼Youtubeショート
https://youtube.com/shorts/PvFKQBGUNy4
